噛める入歯を作る!(上顎総入れ歯編)②~型取り なるべく気持ち悪くないように~
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 歯科医師 小坂井竜也です。
このシリーズでは上の総入れ歯の作っていく流れや、ポイントを中心にお話します。
前回は、患者さんの現在お困りのことや、今の入れ歯の状態、お口の状態を診査診断していきました!そこで、噛み合わせに関して問題がある可能性が考えられました。
今回は、入れ歯作りのための型取りをしていこうと思います!
歯医者さんの型取りといえば、経験がある方は思い出せるかもしれませんが、ピンクの柔らかい粘土みたい塊をぐにゃっと入れられる方法です。
これで、奥までドロッと粘土が入ってオエってなってしまう方も少なくないようです・・・
これが嘔吐反射(オエっとなる)というもので、この方はもともとかなりオエってなってしまう型のようでした・・・
なので、工夫が必要になります!
そして、入れ歯の型取りの際に私がよく使う方法と同じテクニックが応用できそうです!
これが「固練り、山盛り、水かけ」という方々です。
なんのことか患者さんには、さっぱりだと思うでしょう!
これは、通常より型取りの材料を硬めに、型取りの面を綺麗にして、圧をしっかりかけて、肩をとる!という方法です。
これの何が良いかというと、入れ歯は特に歯よりも歯肉の状態の方をとります。
理想は歯肉の中には骨があるので、その形をトレースするのが一番であり、特に入れ歯の形を決める枠を大きめに取れればより吸着して入れ歯が落ちにくくなります。(これは吸盤の理論と一緒ですが、表面積が大きければよりくっつきます。実際はそこまで単純ではないのですが・・・)
通常の方法だとなかなか圧をかけて型を取るのは難しく、流れてしまうことが多く、奥に流れれば嘔吐反射が発生します。
しかし、先ほどの方法ですと、しっかり圧をかけて型をとっても、奥に流れないので嘔吐反射が起きにくいのです。そして、くっきり、骨のラインが大きく取れるので、入れ歯がより作りやすくなります!(実際、大きく作れれば、小さくするのは可能です。その逆はなかなか大変なのです)
前置きが長くなりましたので、実際の型取りに移ります!
まずは、金属のトレーが患者さんのお口の中にあっているか確認します
次に、型取り材を練っていきます!水と粉の割合は、通常の2/3程度にして、自動で練ってもらいます。(手でもできますが、なかなか固くて大変)
ねり終わったら、山盛りにトレーに材料を盛ります!
そして、水をかけ、表面を均一にします!(これダメなのでは?と思う関係者もいると思いますが、材料の研究者から問題ないとのエビデンスを頂いております)
あとは、患者さんの肩を取ります!いろんな方法がありますが、基本的に圧接して大きく取るだけです。
1分半、口の中でトレーを保持したのち、外します!
この時、キュポ!という音がしているので、吸着のありそうです!
奥までドロッと流れなかったので、オエっとなりませんでしたし、十分に顎の形も取れているものと思われます!
あとは石膏を至急型についでもらって、お口の中を模型にトレースしていきます。
なかなか良い型が取れたのではないでしょうか?
通常ですと、ここから、各個人に合わせたトレーを作り、再度、精密な型を取っていくのですが、今回はその必要がなさそうです!
この方法は入れ歯の型取りや、嘔吐反射のある型には非常に優れている方法なのです!
後日、動画の方も出させていただければ、と思います!
次回は、入れ歯の作成の肝となる、噛み合わせの型取りになります!
全ては患者さんのために!