こんにちは。

ハートフル歯科のドクターM

本山です。

 

今回のテーマは、、、

「象牙質を守ること=神経を守ること」

 

まず、最初に神経(歯髄)が生きている歯を有髄歯と言います。

その有髄歯に対してむし歯治療を行う場合、

充填や詰め物などの修復治療を行います。

しかし、このような経験はありませんでしょうか?

治療後に痛みなどの不快症状が現れることがありませんか??

これはどういうことなのでしょうか…

解説していきます。

少し専門的になるところもありますが、

できるだけ噛み砕いて説明していきますね。

 

歯髄は象牙質に囲まれています。

しかし、発生学的・組織学的・機能的には

同一組織であり、「象牙質・歯髄複合体」と呼ばれています。

歯髄組織の一部である象牙芽細胞の突起が

象牙細管中に侵入している組織構造を示しており、

象牙質と歯髄は組織学的に複合体と捉えるべきであると言われています。

そのため、象牙質への強い刺激は歯髄に傷害を引き起こす可能性が

高まることになります。

うまく治癒に至り予後良好に経過することもあれば、

神経が炎症を起こして歯髄炎、もしくはさらに進んで歯髄壊死に至ることもあるわけで

象牙質への強い刺激は歯髄に対してのリスクを上げるというわけです。

象牙質における象牙細管の占有率は、

エナメル質表層で1%、歯髄の場合は22%程度と言われています。

分かりやすく言えば、歯を削る形成部分が深くなれば、

それだけ象牙細管の占有率が高くなります。

つまり、歯髄刺激も大きくなります。

刺激の強い薬剤や修復材の使用、また必要以上のエアーによる乾燥は

歯髄に対して傷害を引き起こしてしまいます。

形成部分を補強・裏層するために

コンポジットレジンを使用します。

コンポジットレジンには組成として、

細胞毒性を持つ成分(未重合モノマー、重合開始剤、重合促進剤など)が含まれています。

しかし、完全重合により硬化体となった場合には、

これらの成分が消失するため、歯髄に対して

無害となり毒性はなくなります。

重合が不十分で硬化体中に未重合モノマーや

重合開始剤などの成分が残留した場合は、

硬化体から溶出したこれらの成分が

象牙細管を通じて歯髄に到達して、

歯髄刺激を引き起こすことになりかねません。

適切な処置が必要となります。

また、修復後に辺縁漏洩、隙間からの刺激や

細菌侵入によっても歯髄傷害は起こります。

歯を削る処置は、象牙質を露出している状態を作ることからも

象牙質・歯髄複合体という考えからも、歯髄傷害の防止には十分に注意して

処置を行う必要があるということなのです。

神経治療には、歯髄保存と歯髄除去の二つの治療法があります。

診断においてグレーな場合は、

経過観察を行いながら病態をよく見て判断し、

怪しいからと言ってすぐに抜髄(神経除去)を行わないで、

まずは神経の保存に努めることを目指すべきであると考えております!

 

今日も一日頑張りましょう!

 

“すべては患者様の笑顔のために”

 

今後ともよろしくお願い致します。

 

本山 直樹

医療法人社団徹心会ハートフル歯科