ハートフル歯科全身管理研修 ~高血圧②~局所麻酔と高血圧治療薬
こんにちは!ハートフル総合歯科グループ 歯科医師 小坂井竜也です。
ハートフル歯科では8月14日に臨床管理施設としての、全身管理研修を行いました!
今回は、高血圧患者さんに対して、臨床上問題が起こりやすい、局所麻酔と高血圧の治療薬の関係からお話していきます。
局所麻酔薬で一般的に使用されるのは1/8万アドレナリン添加2%リドカインです。
エピリドと書いてありますが、商品名で内容は1/8万アドレナリン添加2%リドカインです。
このアドレナリンが問題になるのです!
なぜアドレナリンが添加されているかというと、リドカインだけではすぐに血管に吸収されてしまい、十分な麻酔効果の時間が得られないので、血管収縮させるアドレナリンを使用して、麻酔効果を持続させるためです。
1/8万アドレナリン(12.5μg/ml)はめちゃくちゃ量が少なくみえますよね!
じつは、医科よりも使用量がおおいのです!
それは、歯の神経の痛みは体のなかでトップクラスなので確実に麻酔を聞かせる必要があるからです。
そのアドレナリンと高血圧の治療薬の併用の問題が今回のテーマです。
健常人ならば200μgまでならアドレナリン投与可能で、局所麻酔(リドカイン)9本弱ならOKです。
こんなに打つことはありえないのですが・・・
①Ca拮抗薬を使用している方はアドレナリン40~50μg、つまり局所麻酔(リドカイン)2本分までならOKということです。
②α遮断薬を使用している方はアドレナリン40~50μg、つまり局所麻酔(リドカイン)2本分までならOKで①と同じです。
③β遮断薬を使用している方はアドレナリン20μg、つまり局所麻酔(リドカイン)1本分までならOKです。
これをみると基本的に高血圧の方は局所麻酔1本分にとどめておいたほうがよいかと思われます!
これ以上麻酔の本数が必要なら、アドレナリンが入っていない麻酔も実はあるのです!
シタネスト、スキャンドネストという局所麻酔が代表的です。
しかし、注意点は麻酔の奏功時間の短さと、アドレナリンによる止血作用が無いことです。
だから、高血圧の患者さんには、出血のおおい歯肉のまわりは、リドカイン一本
全体に麻酔を効かせる、歯の根っこ相当部にはシタネスト等を打てれば歯を抜く処置でも問題ないそうです!
なお、アドレナリン添加の局所麻酔とすることで血圧に影響の薬はまだあります。
それは、抗うつ薬と精神安定剤です!
β遮断薬と三環系抗うつ薬、MAO拮抗薬は血圧を上昇させます。
α遮断薬とフェノチアジン(精神安定薬)は血圧を低下させます。
睡眠薬として処方されることも多いので注意が必要ですね!
次回に続きます。