「保存的治療」とは
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回は自家歯牙移植について診断、手術、治療を3つに分けて治療の流れについてお話をさせていただきました。
自家歯牙移植も保存不可能歯を抜歯しなければなりませんが、親知らずを利用して歯列の保全を保つ、いわば「保存的治療」の1種と考えております。
私が多く担当させていただいているこの「保存的治療」は大きく分けて3種類あります。
・自家歯牙移植(写真左上)
・破折歯に対する接着治療(写真下)
・歯根挺出術(エクストリュージョン)(写真右上)
接着治療は読んで時の如く、破折してしまった歯を医療用接着剤により接着し、破折面を繋ぎ止める処置になります。破折してしまった歯が再生するわけではないですが、組織安定性の高い(体に害のあるものでない)歯科材料により接着を図ることで、割れ目からの感染を抑える働きがあります。そのため、すでに感染が進んでしまっている状態や、破折した歯の破片がなくなってしまっている場合、破折を繋ぎ止めることはできません。
(詳しくは 接着治療とは https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/11934)
歯根挺出術(エクストリュージョン)は歯肉の中にある歯根を矯正の力によって上方に引っ張り上げて被せ物が入るように環境を作る処置になります。歯根の歯質を被せ物を入れるための歯冠の歯質として利用するため、元あった歯根の長さよりも短くなります。そのため元々歯根が短く、引っ張ってしまうと被せ物を被せた時に噛み合わせに耐えきれない歯根の場合には引っ張ることができません。
(詳しくは 矯正的挺出法について https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/11930)
どちらの治療法も成功させるうえで条件というものがあり、全ての歯が適応になるわけではありません。そのため、事前診査が重要になります。
また治療が成功しても歯が再生するわけではないため、元あった歯のように戻るわけではありません。
そのため残された健康組織の有無が直接的にその後の予後となるのです。
「保存的治療」は歯周組織の支えがあってこそ保存が図れる治療です。
何かあった時にその歯を残すための「保存的治療」が可能かどうかは普段のメンテナンスが十分に届いているかも重要になります。
そのためにも定期的な歯科医院の受診、歯科衛生士によるクリーニングは患者さんの口腔内の状態によって間隔を決めてもらいながら行うことを強くお勧めします。