自家歯牙移植の症例① 手術編 〜移植当日の流れ〜
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
今回は前回に引き続き実際の歯牙移植の流れについてお話します。
前回のように事前準備がすべて。治療計画の通り、抜歯の手順を組み歯牙移植を進めていきます。(外科処置のため画像は編集してあります)
まず保存不可能な歯の抜歯を行います。
レントゲンで診断した際に根尖病巣(根っこの先の膿の袋)があれば「搔爬(そうは)」といい、抜歯した穴の中の悪いところをしっかり取り切りますが、根尖病巣が存在しない場合には中をいじりません。それは健康な歯周組織を痛めてしまえばその後の治癒に影響が出てしまうからです。今回はC Tでの診断時に根尖病巣を認めないことから中はそのままの状態で次のステップへと進みます。
続いてドナー歯の抜去に移ります。
前回のブログで記した計画通り、保存不可能歯の抜歯が済んでしまえば親知らずの抜歯は容易になります。慎重にかつスピーディーにドナー歯の抜去を行います。
歯牙移植は治療自体に「制限時間」があります。
それは歯根膜に対してのダメージが抜歯された時から始まってしまうからです。
詳しくは以前書かせていただいたブログにも書いてありますが、高い成功率を維持するには20分以内に移植を済ませることが必要になります。
歯牙移植の制限時間についてのブログはこちら
(https://heartful-konkan.com/blog/dr_motoyama/13323)
今回のように事前に診断をしておけば、ドナー歯の抜去をしてから移植にかかる時間も最小限で済みます。
上の歯と噛み合ってしまうところだけ歯の頭を削り落とします。
治癒を待つうえで過度な噛み合わせの力は治癒の阻害につながってしまう可能性があるからです。
移植後、安定が見られたら根管治療を行い、その後被せ物を入れるためしばらくの間この状態で患者さんには我慢をしてもらいます。
最後は傷を縫合して終了です。
ドナー歯には糸を襷掛けにしてなるべくぐらつかないように固定をします。
(必要に応じて隣の歯に接着剤で固定をします)
この状態で4週間ほど固定を行います。
術後1週間は歯ブラシを当てないこと、4週間は硬いものを噛まないことを注意事項としてお話しています。
今回は歯牙移植の手術の流れについて書かせていただきました。
次回はいよいよ治療の完了。被せ物が入るまでの流れについてお話します。