奥歯のない入歯に大切なもの 下顎編 レトロモラーパッドについて
こんにちは!ハートフル歯科総合グループ 小坂井 竜也です。
今回は、奥歯のない入歯に大切な[レトロモラーパッド]についてお話します。
レトロモラーパッドとは下顎の一番後ろの歯の後ろのほうにある洋ナシ状の隆起です。
歯がなくなった人でも形態変化が少なく、入歯の方の作成の参考になったり、噛み合わせの基準の基準点として利用されます。
特に仮想咬合平面の基準ではよく使用されます。
下顎前歯切縁(下の前歯の先)からレトロモラーパッド1/2〜1/3の高さで設定される三角形のことを言い、
入れ歯作成の際の咬合器への付着の基準にも使われます。
このスタートの設定がずれると、咬合器は多くは人間の平均的な動きを再現しているので
その再現性がなくなり良い入れ歯が必然的に作れなくなってしまうのです。
だから、歯がない人の噛み合わせの基準としてとても大事になるのです。
そして入れ歯の機能面でも非常に重要な働きをしております。
この部分が入歯の噛んだ時の「受け(レスト)」になってくれることと、下の入歯の「吸着(くっつき)」ために非常に重要なのです。
「受け(レスト)」の面では、かんだ時、奥歯がない患者さんは入歯のかむ力が強いと沈み込んでしまい、痛くてかめない入歯になってしまいます。
しかし、後ろのレトロモラーパッドを入歯の床で覆うことによって沈み込みを防ぎしっかり噛める様になるのです。
「吸着(くっつき)」の面では、入歯の吸着は床の表面積の広さに準じてよくなります。そしてレトロモラーパッドは軟組織の中でも変形が少ないため入歯のくっつく範囲の境目としては適任になります。
また、BTCポイントといって、レトロモラーパッド上における頬と舌の脇腹で入れ歯の浮き上がり抑える働きにも関与します。
口を閉じた状態では頬と舌の脇腹で、入れ歯をレトロモラーパッドに押し付けます。この画像ではその抑えた跡が筋で目視できます。
この部分は、変形が少ないといっても軟組織で柔らかいため、型取りの際に圧力でつぶれてしまう事もあります。
また、一番後ろの部位で、型もとりにくいことに留意しなくてはなりません。
しかし、ここがちゃんと型をとれないと良い入れ歯にはならないのです!
次回は、レトロモラーパッドの重要性がわかる実例がありますのでご紹介していこうと思います。
全ては患者さんのために!