「接着治療」 口腔外接着法(再植法)の実際
こんにちは
ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。
前回は前書きが長くなってしまいましたので、実際の治療の流れについて写真でご紹介いたします。
前回のブログはこちら
歯根の垂直破折が起こり、他院で保存不可能と診断され抜歯の前にセカンドオピニオンとして来院された方の写真。
前院の診断通り縦に真っ二つに破折してしまっている一番奥の歯です。延長ブリッジの土台になっていた歯で、噛み合わせの負担により破折したと推測されます。ただ、根の周りに炎症組織による骨破壊がまだ深刻化していない状況や、全体的に歯周病が及んでいないことから、口腔外接着法のお話をし、残せる可能性があるのならと治療を開始しました。
まず破折に関係のない根管に関してはマイクロスコープを用いた根管治療を行い、根管充填を終了させます。
その後破折部の処置に切り替わります。
破折した歯根を丁寧に抜歯し、
破折根についた不良肉芽(炎症組織)を綺麗に除去、
スーパーボンド(医療用接着)を破折面に塗布し、
接着。
余分な分は綺麗に整えて抜歯窩に戻す。(写真は数週間の固定後、固定剤を外した後の写真)
歯の動揺も腫れもないため、セラミック治療で治療完了しました。
元あったようにブリッジを入れると土台に対しての噛み合わせの負担から、再度破折してしまう可能性があるため、今回は一つの歯として被せ物を完成させました。
治療をしてから1年以上経過しますが、一度も腫れたり傷んだりした様子もなく、今もメンテナンスには欠かさずいらっしゃいます。
あの時初診でいらっしゃっていなければきっと抜歯となっていたことでしょう。
接着治療は治療自体に煩雑なものではなく、「抜いて→治して→戻す」といった単純なものですが、治療の迅速さとスーパーボンド(医療用接着剤)の生体親和性、歯周組織の治癒力がその後の予後を大きく左右するものといえるでしょう。
今後多くの方の破折歯が救えればと願いますが、適応症例に限界があるため、全ての破折歯が救えるわけではありません。
抜歯の前に救える可能性がないか、抜いてしまっていい歯なのか
ぜひ一度ご相談ください。
野田裕亮