根未未完成歯を救う!リバスクラリゼーション
こんにちわ!ハートフル総合歯科グループの小坂井竜也と申します。
今回はリバスクラリゼーションについて説明いたします。
まず、リバスクラリゼーションって何???っと思う人(歯科医療関係者以外)が大半だと思うのですが、この手技はかつて予後不良と言われる歯を救うことができるかもしれない方法なのです!
リバスクラリゼーションとは、根未未完成歯で、根部歯髄まで感染が及んでしまった状態に適応される治療です。対象年齢は、生え変わりの6〜12歳まで、歯が生えて2~3年程度の歯を対象にしています。
生えてまもない歯は根っこが未完成であることが多く、根っこの成長、完成にはタイムラグがあります。(多くは2~3年)この期間の歯を根未完成歯と言います。
この歯に何らかの形で神経にダメージが起こると、非常に厄介なことになってしまうのです!
不可逆性の神経の炎症が起こると、感染している神経を除去しなくてはなりません。
通常の根っこの治療のように神経を取って掃除しようとしても、根っこの先に穴が空いてるので、うまく掃除かできず、薬を入れようとしても、根っこから飛び出して上手く行きません。
だから生えたての歯から神経を守ることは非常に大切になります。
根っこの上の方の神経の感染だけなら、そこのみ除去して水酸化カルシウム等で歯髄断面を封鎖できれば、根っこの完成に支障を及ばさず治療できる、いわゆる「アペキソゲネーシス」という治療が可能となります。
しかし、神経が全体的に感染して、歯肉に膿も出てくるようなケースだと非常に難しい・・・
先ほど述べたような神経を取っての治療が必要になるので、通常の治療では予後不良になります。
このケースは、これまでは「アペキシフィケーション」がありました。
これは、感染歯髄を全て除去して水酸化カルシウムをある程度で根管内を塞ぎ、根管の閉鎖を促す方法です。こちらは、アペキソゲネーシスと違い根管の閉鎖は神経由来の自然のものではなく、骨様組織の添加によって封鎖されます。
一番の違いは、根っこが成長せず短い状態で封鎖されること、水酸化カルシウムの定期的複数回の交換が必要なこと、治療期間が長いこと(最低一年)、強アルカリにより歯質が脆く、破折のリスクが上がることが挙げられます。
リバスクラリゼーションはこのアペキソゲネーシスの進化系となる技法となります。
この方法で最も重要な点は材料にあります。
MTAセメントの登場です。
詳しくは長くなるので、今後個別でブログに挙げさせていただく予定ですが、根管治療の分野において非常に有効な材料が現れました!
代表的特徴は、出血等、水分に反応して硬化できること(親水性)、硬組織誘導能、硬化膨張による封鎖性、優れた殺菌性、硬化後の高強度が挙げられます。
リバスクラリゼーションはこの特性をフルに利用した術式で、感染した根未完成歯に対して、感染歯髄を除去し出血をさせて、MTAセメントを根管上部に貼薬してセメントで封鎖します。
これにより、アペキシフィケーションにできなかった根管の成長を期待できます!
また、MTAの交換も必要ないので不用意に患歯をいじる必要もありません。
より、予後の良い治療が達成できるのです。
特に、この治療が必要な患者さんは10代前半から中盤の若者です。
これからの長い人生で、早い段階で歯を失ってしまうことは想像以上に悪影響となります。
しかし、このリバスクラリゼーションは予後良好で長く使える歯になる可能性を持った価値のある治療方法となるでしょう!
厳密に言えば、歯は成長している様に見えるのですが生体由来の硬組織修復になります。
しかし、歯根の成長、象牙質の厚みの増加が期待できるので予後良好への目的はここで達成されます!
今回は患者さん向けではないわかりにくい話で申し訳無かったのですが、次回は実際の症例をあげてお話しします。
全ては患者さんのために!