歯を救うために(5-③)歯肉弁根尖側移動術 右上3番MTM
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回のテーマは、、、
「歯肉弁根尖側移動術」です。
歯肉縁下までむし歯や破折が及ぶと、生物学的幅径(Biologic Width)が侵襲される恐れがあります。
生物学的幅径とは歯根周囲の歯肉溝、上皮性付着部、結合組織性付着部の垂直的な幅径のことを言います。
それぞれ約1mmずつ、計3mm程度でありこの幅が恒常性を有するとされています。
生物学的幅径を確保するため、
健全歯質(クラウンマージン)から歯槽骨頂まで、最低2mm以上距離をあける必要があります。
そして、補綴する際にかぶせ物の脱離や土台の破損を
引き起こさせないために重要な最低1mm~1.5mmのフェルールの確保が必要になります。
そのようなケースで頻繁に行うのが、
クラウンレングスニングです。
※クラウンレングスニング(歯冠長延長術)
→むし歯や歯が割れている部分を歯肉の上に出す治療法
フェルール??
フェルールについて説明しますね(*´σー`)エヘヘ
かぶせ物が歯根の土台部分にのみくっついていると、
咬合力がダイレクトに土台のみに伝わり、
土台破損やかぶせ物脱離の原因になります。
予知性の高いかぶせ物を作るためには、歯牙の全周が歯肉より上に最低1mm以上出ていることが
重要です。この1mmの部分に被せ物がくっついてると、根と土台それぞれに咬合力が分散され、破損や脱離が起きにくくなります。
この力分散をフェルール効果と呼びます。
フェルール効果は力分散だけでなく、かぶせ物の脱離と
細菌の侵入による感染を防ぐために非常に重要な条件
ともなります。
エクストルージョンにより歯を挺出させた後、歯周靭帯に引っ張られてきた歯肉および歯槽骨を、外科的に根尖側に移動します。
これを「歯肉弁根尖側移動術」と言います。
クラウンレングスニングと歯肉弁根尖側移動術は
同義と解釈していただいて構わないと思います。
それでは、実際の症例を見てみましょう!
右上3番です。
かぶせ物が土台ごと脱離しました。
術前です。
むし歯が見られます。
通常ならば、抜歯適応になります…
エクストルージョン後です。
歯肉縁上まで歯根の挺出が行われました。
歯肉弁根尖側移動術後です。
これから、最終的なかぶせ物の治療に入ります。
銀歯がむし歯になって「歯を残せない」と言われた時に
有効な治療法と言えるのではないでしょうか…
“すべては患者様の笑顔のために”
本山 直樹