歯を救うために(79)根管充填のタイミングは?
こんにちは。
ハートフル歯科のドクターM
本山です。
今回は、、、
「根管充填のタイミング」
根管治療において、
終了のタイミングは根管充填になると思います。
ところで、根管充填はいつ・どのタイミングで
行うべきなのか?
これが、今回のテーマです。
治療中にこのようなことをよく聞かれます。
「先生、あと何回ぐらいで終わりますか?」
もっともなご質問かと思います。
ざーっとですが、私の根管充填を行うタイミングを
列挙してみます。
①根管の機械的拡大が終了している
②根管内の起炎因子が除去できている
③自発痛などの自覚症状が消失している
④根尖からの滲出液がない、もしくは軽微な状態である
⑤根管からの出血・排膿がない
⑥根尖部歯肉の圧痛がない
⑦綿栓、ペーパーポイントの汚染がない
初診の患者様でよく見かける根管治療の内容なのですが、
抜髄して恐らく炎症状態が残っている
つまり、起炎因子が除去できていない状態で
根管充填されて、痛い痛いの状態になっているケースです。
抜髄根管で疼痛が認められる場合は、
抜髄創面を含め根尖部周囲組織が炎症状態にあると考えられます。
この状態で根管充塡を行うと浸出液などの逃げ場がなくなり
症状を悪化させる危険性があります。
また、自発痛がなくても浸出液が認められる場合は
根尖部の十分な封鎖を行うことができないために
根管充填を次回に見送ることがあります。
早ければ良いと言うわけではありませんが、
遅くまでダラダラと治療を長期間に渡り、
長引かせてもダメだと思います。
あまりにも症状の改善が見られない場合は
私はより専門性の高い大学病院を
紹介させていただいています。
基本的には当院にてほぼ治療を完結できるように
頑張っているつもりです。
根管充填のタイミングまで
階段を上るようにしっかりと
ステップを一つずつ踏んでいくことが
やはり一番大事ですよね。
最後に一つ症例をご覧下さい!
42才 女性
右上5番 抜髄
<主訴>
2〜3日前から急にズキズキとした
痛みがあり、冷たいものがしみる
<現病歴>
・歯髄の診査
冷水痛(++持続痛10s)、温熱痛(+)、電気診(+)
・根尖部歯周組織の診査
打診(++)、根尖部圧痛(+)
sinus tract(−)
プロービングdepth(2mm)
<診断名>
・歯髄の状態(Pulpal):
Symptomatic irreversible pulpits
(症候性可逆性歯髄炎)
・根尖歯周組織の状態(Apical):
Symptomatic apical periodontitis
(症候性根尖性歯周炎)
<治療方針>
根管治療
<術前レントゲン写真>
右上の奥から3番目、右上5番には銀歯(インレー)が入ってます。
銀歯の中には補強材が裏層されていますが、
むし歯が深かったのか神経近くまで材料が裏層されているのが
確認できます。
<ファイル試適>
根尖部まで器具が到達しており、
根の長さをレントゲン上で確認できました。
<根管充填後>
自発痛もなく、根管内において
自発痛などの自覚症状も消失しており
根管からの出血・排膿などもありませんでした。
根管充填のタイミングとしては
条件が整っていると判断して
充填処置を行いました。
3回の治療で終えることができました。
無事に治療もある程度の期間で終了して
良かったです(^○^)
この患者様は銀歯の型取りまで終えられて
次回、セットで終了です!
お疲れ様でした。
さぁ、今日も一日頑張りましょう!
“すべては患者様の笑顔のために”
今後ともよろしくお願い致します。
本山 直樹