こんにちは

ハートフル総合歯科グループの野田裕亮と申します。

前回に引き続き「ヘミセクション」についてお話させていただいます。

今回はヘミセクションの実際の症例についてお話したいとおもいます。

他院で抜歯を宣告された患者さん。根管治療のセカンドオピニオンで来院されました。

初診時マイクロスコープで問題の歯を確認すると、遠心根(後ろ足)がむし歯で崩壊していました。以前ブログにも書かせてもらいましたが、隔壁が建てられないほどのむし歯のため保存不可能の診断は妥当であるとお伝えしました。

 

 

むし歯が大きい場合の保存できる歯できない歯についてはこちら

https://heartful-konkan.com/blog/dr_noda/11926

保存不可能となったとき、レントゲン画像にもあるように1本奥の歯がインプラントであることからブリッジという選択肢がとれません。(インプラントと天然歯のブリッジは禁忌とされています。)インプラントを入れるか入れ歯を入れるかとのお話が前院であったようです。

インプラントにはいい思い出がないとのことでインプラント以外の選択肢を望まれていたため、患者さんの負担が最小限になるよう、近心根(前足)を保存し、ヘミセクションをして手前の歯と共にブリッジを入れることを提案しました。

手前の歯は生活歯(神経が生きている歯)のため、削ることで痛みが出てきてしまうリスクはありますが、それもすべてお話し、治療を進めることにしました。

 

患者さんが歯科治療に恐怖心を持っていらっしゃること、また嘔吐反射があり型取りが苦手なこともあり、ヘミセクション後は光学スキャナーで口腔内を撮影し、3Dプリンターによる仮歯の作成し噛み合わせの評価を十分に行なった後、C A D /C A Mによるジルコニアブリッジの作成を行い、取り付けを行いました。

嘔吐反射がある方なのでもちろん印象材もなければ石膏の模型もありません。

3Dプリンターによる歯牙模型上で調整を行いました。

 

幸い、手前の生活歯も痛みも何もなく、また口腔衛生状態も綺麗な状態を保てているため、

一段落となりました。今後破折をしてしまったインプラントの被せ物は落ち着いたら行う予定です。

 

本来であればインプラント治療を行い、手前の生活歯を削らずに噛めるように治していくのがBestなのかも知れませんが、患者さんの口腔内の状態や健康状態、治療期間や費用、歯科に対する恐怖心や嘔吐反射など様々なことを考慮しながら患者さんにとって一番の治療法を探していくことが歯科医師の使命だと考えております。

 

保存不可能と診断された方、抜歯を行う前に何かお手伝いができることがあるかも知れません。何かあればご相談ください。

医療法人社団徹心会ハートフル歯科