歯の神経(歯髄)を残すために生活歯髄療法
こんにちは。
いつもありがとうございます。
東京都 三鷹市 ハートフル総合歯科グループ 歯科医師 井上貴史です。
今回は、なるべく歯の神経(歯髄)を保存したケースについて書きたいと思います。テーマは生活歯髄療法についてです。
生活歯髄療法(せいかつしずいりょうほう)には、間接覆髄法、暫間的間接覆髄法、直接覆髄法、部分的断髄法、断髄法があります。むし歯が歯の神経(歯髄)に近接もしくは歯冠部(歯の頭の部分)の歯髄に限局している場合に、歯髄ギリギリもしくは根管口部までの歯髄を除去し、歯の根尖部の歯髄を温存させる方法です。年齢が若い方の根未完成歯においては、歯根部歯髄が生きているので、歯根の形成が続く場合があります。
刺激物が除去されれば歯髄の炎症は沈静する(Bergenholtz,JOE 1981)
生活歯髄療法が適応症の歯は、症状のない生活歯(神経が正常に反応する歯)、外傷による歯、むし歯が深い場合です。
上のX-P(レントゲン)写真から黄色い丸印がむし歯と思われます。アルファベットのMのような黒い影は、歯髄腔と言われる歯の神経の部屋です。むし歯がかなり近接しています。
生活歯髄療法の治療の際は、細菌が炎症を起こし感染を起こしてしまうと良好な予後が得られないためできるだけ無菌的な処置が必要です。
生活歯髄療法が適応症なのかを診査、診断を術前に行います。すべての方、すべての歯に適応ではありません。
実際の治療の流れです。
①診査、診断(口腔内写真、X-P(レントゲン)写真、口腔内診査(問診、打診、温度診査、電気歯髄診断、動揺度、根尖部圧痛など))、カウンセリング
電気歯髄診断は以前にブログに書かせて頂きました。⇒https://heartful-konkan.com/blog/12019
②治療予定の歯にラバーダムを装着します。ラバーダムが装着できない場合は隔壁(歯冠部をプラスチックで補強します。)を作成します。
③感染予防のため新しいバー(歯を削る器具)にて感染歯質除去もしくは感染歯髄を除去します。
④感染歯髄を除去した場合、止血ができているか確認します。止血が出来ていない場合は歯髄を除去(根管治療)となります。
⑤MTAセメントを使用し入れます。その後プラスチックで蓋をします。
⑥後日、痛みなど症状がないかを確認して被せ物をします。
次回は実際の症例について書きたいと思います。
それぞれにメリット、デメリット、適応症や禁忌症などありますのでご不明な点は、担当の歯科医師にご相談ください。
今後ともよろしくお願い申し上げます。
井上貴史